過去・現在・


裏路地を入った出会い茶屋の一室でけだるい身体を少し身じろがせながら、土方は目線だけでそっと窓辺に佇む男を盗み見た。
男は女物の着物を無造作に着流し、少し幅のある窓辺の桟に腰掛け片足を乗せ膝を立てると、そこに肘を乗せ、煙管を銜えながらいまだ明け切らない窓の向こう側を眺めていた。
土方から見える男の横顔は包帯に覆われ、その表情ははっきりと伺えなかったが、煙管から吐き出される煙の様子を見る限り、穏やかなまどろみを楽しんでいる風情であった。
男は名を高杉晋助といい、過激派テロリストを生業としている。
幕府の犬と評せられる真選組副局長の土方とは相容れぬ関係であるはずだが、その昔、土方は近藤と出会う前に鬼兵隊総督、高杉晋助と遭遇していた。

10年以上前、天人と侍たちが戦争を繰り返しているさなか、土方は深い手傷を足と肩に負った高杉を森の奥まった場所で見つけた。手持ちの手ぬぐいで傷の止血してやると、自分が隠れ家にしていた廃屋へと連れて行った。
とりあえずけが人を布団に寝かしつけると、先日飛び出した実家にこっそりと侵入し、家の者に見つかる前に傷薬やらが入った薬箱を引っつかみ戻り、傷の手当てをしてやった。
手当ての最中、傷の痛みに顔を歪めながら高杉が土方に尋ねた。
「てめぇ、何で俺を助けたんだ?」
「いや、単なる自己満足みたいなもんで、特に理由なんてねぇけど…。まぁそうだな。強いて言えば侍だったからかな。」
手際よく包帯を巻きながら返す土方に高杉は怪訝そうな顔をして先を促した。
「お前ら侍はなんか守るために戦ってんだろ?」
包帯を巻き終え、端を結ぶと土方は高杉の顔を見て言った。
その視線を受け、高杉は自嘲気味に笑った。
「守る気なんざねぇよ。俺はただ、大切なものを奪ったこの世界に喧嘩売ってるだけだ。」
「ふーん。まぁよくわかんねぇけどさ。」
そう口を開きながら土方はさらりと長い黒髪を揺らして身体を少し動かすと、傍らに置いてあった薬箱へと顔をむけた。
そして余った包帯をしまいながら口を開いた。
「なんにせよ、お前が命かけてまでしたいことなんだろ?だったら別に理由なんざ自分が分かってればいいじゃねぇか。大義だなんだってのは周りが決めるもんだしな。」
そういった土方の横顔には穏やかな笑みが浮かべられていて、高杉は久しぶりに誰かに対して感情が動かされるのを感じた。
先日、幕府が天人に寝返り、国のためにと戦ってきた者たちが次々と逆賊として捕らえられ始めていた。
戦局も日に日に差し迫った状態になり、己が何のために戦い始めたのか忘れかけていた高杉は、改めて遠き日に師と慕ったあの人の面影と、それを奪った世界への激情が蘇った気がした。
「個々に理由があったって、それが理解されないもんだっていいじゃねぇか。俺だってお前を助けた理由をお前に理解してもらおうなんて思ってねぇしな。」
そう言って片付け終えた土方は高杉に向かってふわりと綺麗な笑みを浮かべると、軽く高杉の額を撫ぜた。
それが今はもういないあの人に重なり、思わず胸が熱くなった。
「でもまぁ理解しなくてもいいけどよ、取り敢えず助けてやったんだからまずは傷を治せよな。」
そう軽く告げると手を額から離そうとするので高杉はとっさにその手を掴んだが、その行動が傷に響き小さくうめき声を上げた。
「ちょ、大丈夫かよ。ちゃんと傷直せって言ってんだろ?なんだよ、急に」
「手、置いてろ」
「は?・・・あぁ、うん。別にいいけどよ。」
土方は不思議そうな顔をしつつも、言われたとおり額に手のひらを乗せて、軽く撫ぜ続けた。
「寝心地わりーから膝貸せ」
「はぁ!?」
「膝枕しろ」
「いやいや、傷に障るだろ」
「怪我してる俺が良いって言ってんだ。そのほうが早く治んだよ。」
「聞いたことねぇよ。そんな治療法。・・・ったく。」
土方はぶつぶつ言いながら高杉の肩の傷が自分の身体に当たらないように外側にし、傷に障らないよう膝の上に頭だけでなく肩の部分まで上げてやった。
「手!」
体勢が収まりがつくと高杉が即座に土方に要求した。
「・・・おめぇは我侭なぼっちゃんかよ・・・。ちっ、面倒なもん拾っちまったな・・・。」
顔をしかめつつぶつぶつ言う土方に「手ぇ置けって言ってんだろ!」と高杉は自分の怪我に響かないよう、いつもよりは抑えた声で怒鳴った。
「へいへい。かしこまりましたー」
土方は適当に返事をしながら、高杉の少し茶色がかった頭部に手を置き、静かに撫ぜた。
それと同時に気持ちよさそうに目を閉じる高杉に(猫みてぇ)と土方は心の中で小さく笑った。
「・・・おめぇのおかげでまた暴れられそうだぜ。」
目をつぶりながら、そういう高杉に「まぁ傷がなおりゃぁな。」と土方は軽く返す。
「あぁ。傷もそうだが、おめぇのおかげで折れそうだった牙が砥がれた気ぃすんぜ。」
「ふーん、よくわかんねぇけど。良かったな。」
「おめぇはきっと旦那を立てるいい嫁さんになるぜ。」
そう言って目を開けて自分を見上げる高杉に土方は深く眉間に皺を寄せた。
「はぁ!?一応、言っとくが俺は男だ!」
「もし戦場から生きて戻ってこれたら嫁にしてやるよ。」
「お前、人の話聞いてたか!?俺は男だって言ってんだろ!!」
「約束だ。」
そう言って肩を怪我をしていない、土方の身体側の腕をゆっくりと動かし、土方の腰に流れる長い髪の一房を手に取り口付けた。
「ぎゃー!やめろ!なにしやがんだ!てめぇ!」
一瞬、動き出そうとする土方に「傷に障るから動くなよ?」と素早く声をかけた。
土方はその言葉にぴたりと身体をとめ、「うーっ」っと悔しそうにうなった。
「てめぇ、さっさと傷治せ!治ったら即行ここからたたき出してやるからな!」
「はいはい。それまでは面倒見てくれんだろ」
「見ねぇよ!!てめぇなんか知るか!」
そう怒鳴る土方の声を聞き高杉は小さく笑った後、静かに目を閉じ、寝息を立てた。
「ったく、変な奴」
土方はぶつぶつ言いながら、寝息を立てる高杉の顔をじっと見つめた。
目鼻立ちの整った端正な顔つきと戦で培ったのであろう精悍な表情と引き締まった体つき。
それを一通り眺めると、土方は思わず「男前な野郎だな」と呟いた。
「そりゃどうも」
「げっ!てめぇ寝てたんじゃねぇのかよ。」
「戦争行ってるやつらは眠りが浅くて当然なんだよ。」
「あー、そうですか!」
「ところで」
「わーわー!俺は何も言ってない!断じて何も言ってない!!」
顔をほのかに赤くしながら両耳を手を塞いでそう騒ぐ土方に高杉はくっと喉の奥で笑った。
「そういうことにしといてやるから、手ぇ動かせ」
高杉の言い分に多少ひっかかりはあったものの、追求してこちらの言動を再び蒸し返されても困るので、土方は不本意そうに高杉の頭を撫ぜ始めた。
それ以後、二人は高杉の傷が回復するまでの数週間を時に穏やかに、時に口論しつつ過ごした。
傷がふさがりかけ、刀も扱えるようになったある日、高杉の姿を探していた部下が二人のいる廃屋までたどり着いた。
「総督!ご無事で・・・っ!」
廃墟の軒先で素振りをしていた高杉の姿を見つけて、部下は涙を浮かべながらそういった。
そんな部下に高杉は刀を振っていた手を止め、「心配かけたな」と声をかけた。
「いえ!みんなあなたは生きてるって信じてました!さぁ!戻りましょう。ここから少し先のところで陣を構えてます。桂さんや坂本さんたちも一緒です。」
「・・・そうか・・・。」
高杉は刀を鞘に納めつつ、どこかためらうような表情を浮かべた。
「総督?」
部下の声も聞こえないかのように高杉はじっと廃屋の方を見つめた。
そこに人の声を聞きつけた土方が廃屋の縁側から顔を出した。
髪の長い整った顔立ちの土方を見た高杉の部下は何かを察したかのように顔を緩めた。
「もう、総督ったらー、みんなにいいつけますよー。こんなところに女性を連れ込んでー」
「ちげぇよ。馬鹿」
茶化す部下に小さく一言そう返した後、高杉は土方に向かって声をかけた。
「・・・世話になったな、土方」
「行くのか?」
「あぁ。いっちょ暴れてくらぁ」
「そっか・・・」
「じゃぁな。」
そう言って部下ともにこの場を後にしようとする高杉を土方は止めた。
「高杉!」
振り向いた高杉を見つめながら土方は一瞬ためらい口をつぐんだが、すぐに意を決して口を開いた。「約束、一応覚えててやっから、死ぬんじゃねぇぞ・・・」
そう言ってふいっと目をそらす土方に高杉は穏やかに微笑んだ。
初めてみる高杉のそんな表情を、間近で目撃した部下は目を見開いて心の中で絶叫した。
(怖っ!!総督が普通に笑ってるよっ!)
部下のそんな気持ちをよそに高杉はつかつかと廃屋にもどり、土方の前までたどり着くと土方が着ていた着流しの襟首を掴んで自分に引き寄せた。
思わぬ力を加えられ、土方の上半身はそのまま前に屈みこみ、驚きで声を上げそうになった土方の口は高杉の唇で塞がれた。
「んっ・・・ふっ、ん、やめ、・・・ん、ぁ、」
土方の口内を散々貪り尽くすと、高杉はようやく土方を解放し、水気を帯びた瞳を見てにやりと口角を上げた。
「生きて帰ってくっから、それまで誰のものにもなるんじゃねぇぞ。てめぇの初めての男は俺だからな?」
高杉の言葉にかっと顔を赤らめ、高杉の肩を押しやりつつ叫んだ。
「さっさと行っちまえ!この馬鹿!」
その様子に高杉はクックと笑いながら部下の元へと足を進めた。
高杉が傍に来るのをまち、一緒に歩き出した部下が興味津々の様子で尋ねてきた。
「約束って何ですか?」
「あぁ?んなもん、夫婦の約束に決まってんだろ。」
「うわ、やっぱりっすかー!羨ましいっすね、あんな別嬪さん。」
「だろぉ?誰にも言うんじゃねぇぞ。横取りでもされたら困るからな。」
「いやー。大丈夫でしょー。奥さん、総督にベタ惚れって感じでしたしー」
部下がどこか得意気に頷くのを「そうかい」と小さく笑いながら流しつつ、皆が待つ陣へと向かった。
土方の方は高杉が去った後、共に過ごした廃屋を後にして武州の村を転々としていた。
しばらくして、高杉が総督を務める鬼兵隊壊滅の話を噂で聞き、唇をかみ締め悲しみを耐える日々を過ごしていたが、自分もあの誇り高く散って行った高杉のように刀を使って強くなろうと木刀を手にし、巷で噂になるぐらい道場破りを続け、近藤と出会った。
土方が買った喧嘩にまで首を突っ込んでくるほど、近藤は人のいい男だった。
そして時代は攘夷戦争の終結、廃刀令へと流れた。
道場を失っても、刀を奪われても近藤は土方たち流れ者の男たちを見捨てなかった。
土方はその懐の深さに感銘を受け、江戸行きの話が出たときには共に行き、彼を支えて行こうと決めた。
江戸に着き、隊服を与えられ、組織としての格好もなんとか整ってきたある日、指名手配犯の手配書が幕府から送られてきた。
土方は自室でそれを確認していたが、その中にあった一枚の顔写真に見覚えのある顔を見つけると愕然とした。
「生きてたのか…」
そこに近藤が顔を出した。
「おう、トシ!あ、手配書か?これから本格的に俺たちの仕事が始まるなぁ!」
嬉しそうにそういう近藤に土方は無理やりに笑みを作りつつ、「そうだな」と返した。
しばらくして最重要指名手配犯、高杉晋助が江戸入りしたとの情報が監察から報告された。
土方はそれを受け、潜伏先を探すよう指示した後、町へと出た。
会えるわけがないと思いつつ、どうしても部屋でじっとしていられなかった土方はしばらく江戸の町をふらふらと歩き回った。
人ごみの多い、繁華街を歩いていると突然路地裏から伸びた腕に強く引っ張りこまれた。
土方はすかさず刀を抜こうとしたが耳元でかけられた言葉に思わず手が止まってしまった。
「久しぶりだなぁ、土方」
ばっと振り返ると、女物の着物と編み笠を被った男が立っていた。編み笠の下には包帯が巻かれてはいたものの、懐かしい顔があり土方は思わず息を呑んだ。
「た、かすぎ・・・」
「あぁ。迎えに来てやったぜ?」
「…死んだかと思ってた…。」
「あぁ、だろうなぁ。でなきゃ俺の嫁さんが幕府の犬になんざなってるわけねぇもんなぁ」
そう言ってククッと笑って土方の頬を撫ぜた。
撫ぜながら「俺と来い、土方」と真顔で告げた。
その言葉に土方は息をのんだが、すぐにゆっくりと首を振りながら「無理だ」と小さく呟いた。
「俺を裏切んのかぁ?土方」
「…そう思われても仕方ねぇ…。でも近藤さんと約束したんだ。真選組で名を立てるって…。近藤さんを支えようって決めたんだ…」
「俺より近藤が好きか?」
高杉の言葉に土方は大きく首を振った。
「お前と近藤さんは違う!でも駄目なんだ…。お前についていくことは出来ない…。」
「…分かった」
そういって高杉が手を土方の頬から外すと、その温もりを惜しむように土方は切なげな表情を見せた。
その表情に土方の気持ちがいまだ自分にあることを察した高杉は、高杉にしては珍しく苦笑しながら再び土方の頬に手を添えた。
「んな顔すんじゃねぇよ。掻っ攫いたくなんだろ?」
そう囁くと土方の唇を塞ぎ、今までの時間を埋めるように口内を貪った。
息を継ぐのも許さないような激しい口付けの最中、土方の胸ポケットが鳴り響いた。
土方は震える手で高杉を押しのけつつ、胸ポケットから携帯を取り出した。
「はぁ、はぁ、でん、わだ…。」
「大丈夫かぁ?」
「うっせぇ!」
土方は軽く息を整えると電話に出た。
「もしも」
『副長!!』
相手は屯所にいる部下の一人からで、どこか切羽詰ったような声色だった。
「どうした。」
『大変です!沖田さんが屯所内でバズーカの試し打ちを…っ!』
「なに!?」
『副長室が多大な被害を受けてます!』
「早急に止めろ!!」
『無理ですー!!とにかく一度お戻りください!』
「はぁ。わかった。すぐに戻る。……悪い、たか」
携帯を切りつつ高杉に向き直ると彼の姿はもうなかった。
「…帰ったか…。」
どこか残念に思いつつも、もう会えないのだろうと土方は先ほどまで重ねあっていた唇をそっと撫ぜた。
だが、もう会えないと思っていたのは土方だけで、非番の日や夜飲みに行くとどこからか高杉が現れて土方を掻っ攫い、近くの出会い茶屋へと連れ込んだ。
高杉の宣言通り、高杉は土方の身体を開いた初めての男となり、最初の夜の翌朝は身体の一部を痛めうなだれる土方の傍らでご満悦の表情で以前は持ち歩いていなかった煙管を吹かしていた。
今日も同様に煙管を吸い、機嫌のよさそうな高杉を見て、土方は小さく笑った。
それに気付いた高杉が怪訝そうな表情で土方を振り返り、「どうした」と尋ねた。
土方は少し掠れた声で「なんでもない」と答えながらじっと高杉を眩しそうに見つめた。
高杉はその視線に苦笑しながら、立ち上がって傍まで来ると顔の横に手をつき、いまだ布団の中で横たわる土方を上から見下ろすように向かい合い、そっと頬を撫ぜた。
「そんな顔すんな。」
「どんな顔だよ?」
自分を見上げながら尋ねてくる土方を覗き込みその唇に自分のを軽く重ねると、耳元で艶のある声で囁いた。
「俺が好きで堪んねぇって面だ」耳元でくすぐる声に身体を震わせながら土方は「そうかもな」と言って高杉の首筋に腕を回した。
高杉は片方しかない眼を面白いものでも見るかのように少し細めて、間近にあった土方の灰色がかった瞳を見つめた。
「珍しいな。」
「なにがだよ」
「お前が素直なことがだ」
「嫌なのか?」
「まぁ嫌がるお前を屈服させんのも一興だがなぁ。たまにはいいさ…。」
そう言って珍しく楽しそうに笑う高杉に、土方はなぜか締め付けられる思いになり首筋に回していた腕に少し力を込めて高杉の身体を自分に近づけると、自分から口付けた。
軽く舌を絡めてきた土方に、高杉は積極的に絡み返しくちゅくちゅと音がなり始める頃には飲み込みきれなかった唾液が土方の口角からこぼれ落ちていた。
そっと口付けを解きあごのラインに沿うように唇を這わせつつ、ふと外が少し騒がしくなってきたことに気が付いた高杉が尋ねた。
「土方、おめぇ仕事はいいのか?」
「今日は非番だ。」
「そうか、なら遠慮はいらねぇな。」
「いつも遠慮なんかしねぇくせに…」
土方はそう呆れつつ高杉の茶色がかった髪に手を差し入れて抱きしめた。
抱きしめられた高杉は、唇を這わせるのをやめ土方の細い首筋に顔を埋めた。
「…ホント、どうしたんだ。お前」
「なんでもねぇって言ってんだろ」
「…俺はどこにも行かねえぞ?」
「…わかってるよ。そんなこと。」
そう返しつつも自分を抱きしめる腕に力が篭ったのを感じた高杉は、続きをするのを諦め、自分の身体を支えるために布団につけていた両腕の力を抜きつつ土方の身体の下へと腕を回し、抱きしめ返した。
高杉に抱きしめ返され、土方の腕が少し緩んだのを見計らって自分の身体を上にずらし横たわりなおすと、土方の後頭部に片手を添えぐっと自分の胸に抱き寄せた。
「疲れてんだろ?俺が抱きしめててやっから、寝ろ」
高杉の胸に抱かれながら耳元で聞こえる彼の声に、土方は目を閉じつつ目の奥から熱くなるのを感じた。
―――疲れてんじゃねぇ。
不安なんだよ。
お前が俺の傍にいて、
俺に優しい言葉をかけて、
抱きしめ合えてること自体がありえないことなのに、それがずっと続けばいいと思ってる自分自身が、一番、不安なんだ。
いつか近藤さんかお前かを選ぶ日がくるかもしれない。
そんなとき俺はちゃんと近藤さんを選べるんだろうか……。
でも…、今は、今だけはお前の夢を見させてくれ………
                          END
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